脊椎脊髄外科

診療概要

当院では、患者数・手術件数の増加により、より高度で専門化した脊椎脊髄外科を開設し、新たな体制で診療にあたっております。首・腰・背中の痛み、上下肢のしびれ・痛み、運動障害、歩行障害、排尿障害などをきたした非常に多くの脊椎疾患の患者さんが受診されます。上位頚椎から胸椎、腰仙椎まで全ての部位の疾患(脊椎症、椎間板ヘルニア、狭窄症、すべり症、靭帯骨化症、脊椎脊髄腫瘍、脊椎感染症、脊椎外傷など)を対象としています。
当科では、初診から脊椎脊髄の専門医のみが診察にあたり、火曜日・木曜日・金曜日に脊椎脊髄外科の初診枠、また、火曜日・金曜日には三好部長の初診枠を設け、いずれも当院予約センターへの電話で初診予約が可能です。また、夜間・休日も、四肢麻痺の急速進行など緊急時には、当院救急部において救急部・整形外科スタッフと交代で出来る限り対応します。

診療スタッフ

氏名 専門 専門医・認定医等
脊椎脊髄外科
部長
三好 光太 脊椎・脊髄外科
マイクロサージャリー
日本整形外科学会専門医
日本脊椎脊髄病学会認定指導医
日本リハビリテーション医学会認定臨床医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本整形外科学会認定リウマチ医
日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
勤労者筋・骨格系疾患研究センター研究員
脊椎脊髄外科
副部長
竹下祐次郎 脊椎・脊髄外科
マイクロサージャリー
日本整形外科学会専門医
日本脊椎脊髄病学会認定指導医
日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医

臨床実績

  平成21年 平成22年 平成23年
脊椎・脊髄年間総手術件数 230 251 253
頚椎 72 65 78
頚椎脊柱管拡大術 41 42 42
頚椎前方除圧固定 13 10 15
胸椎 27 22 22
腰椎 131 164 153
腰椎椎弓形成 68 88 82
インストルメンテーション 82 81 120
脊髄腫瘍 16 10 12

脊椎脊髄外科:脊椎脊髄疾患について受診希望の方へ

当科へは、手術目的で紹介受診される方が多いですが、脊椎変性疾患(脊椎症、椎間板ヘルニア、狭窄症)については麻痺(筋力低下、知覚障害、排尿障害など)がみられない患者さんは、まずは保存療法が優先され、外来での生活指導・装具療法・内服治療などを行い、改善が得られない場合でも、入院での保存療法(安静、牽引、ブロック、注射など)を行うことにより、改善が得られることが多く、手術以外の保存療法による良好な成績をあげています。

腰椎疾患に対する入院による保存療法の治療成績(平成17年)

入院患者数 最終的に手術と
なった患者数
保存療法にて軽快
した患者数
保存療法にて軽快し、
手術を避けられた患者割合
椎間板ヘルニア 37人 6人 31人 83.8%
脊柱管狭窄症 93人 39人 54人 58.1%

(三好光太:腰痛疾患の基礎知識、市民公開講座講演(2006横浜市都筑区)より)

また、主として麻痺が発現している脊椎変性疾患(椎間板ヘルニア、狭窄症)、靭帯骨化症、脊椎脊髄腫瘍などに対し、手術の必要性・手術方法など十分な検討を行ったうえで、手術療法を行っていますが、1)疾患や手術のわかりやすい説明、2)手術前からの当院輸血部における自己血貯血および手術中の出血自己血回収装置を使用することにより、他家血を使用しない無輸血手術(平成18年:98.8%)、3)麻酔科専門医による全身麻酔および必要に応じ手術後ICUを使用した十分な手術前後の全身管理、4)主として無菌室(クリーンルーム)の手術室を使用した感染予防(平成18年:99.3%)、5)手術中における、手術用顕微鏡システム・手術用超音波診断システム・手術用コンピューターナビゲーションシステム・手術中迅速病理組織診断・脊髄神経電気モニタリングなどを駆使した安全性の高い手術、を心がけております。
手術治療を行った患者様の脊椎疾患としては、よくみられる椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症は無論非常に多いですが、さらに当科では、脊椎外傷、頚髄症、靭帯骨化症、(ダウン症、先天性骨系統疾患などの小児例を含めた)上位頚椎疾患、脊髄腫瘍などの難治疾患に関してより専門的な治療を行っており、遠方より数多くの患者様が手術目的にて来院されています。
脊柱管狭窄症や靭帯骨化による頚髄症に対する当科の脊柱管拡大術は、正中縦割式の拡大術を1991年の開院以来行っており、平成21年末までに約700件の実績があります。

過去5年間の頚椎脊柱管拡大術の手術実績

平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年
件数 38件 48件 48件 41件 41件

また小児の先天性疾患に伴う頚椎の環軸椎脱臼、変形に対する手術治療は、全国より患者様が来院され、今までに当科で手術経験のある疾患として、ダウン症、軟骨無形成症(アコンドロプラジア)、変溶性骨異形成症、先天性脊椎骨端異形成症(SEDC)、脊椎骨幹端異形成症、点状軟骨異形成症、Larsen症候群、Shprintzen-Goldberg症候群など数多くの疾患があり、それらに伴う脊椎病変に対する手術経験があります。さらに、小児の脊椎疾患として、側弯症に代表される脊柱変形があり、装具による保存療法を行いますが、進行性や高度な変形に対しては、手術による矯正固定術を行っています。側弯の程度や形態に応じ、前方手術・後方手術とも対応できます。

過去5年間の環軸椎脱臼や側弯症など小児に特異的な疾患の手術実績

平成16年 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年
件数 5件 6件 4件 4件 8件

さらに脊髄腫瘍といった難治疾患についても多くの症例が紹介受診され、手術用顕微鏡システム・手術用超音波診断システム・手術用コンピューターナビゲーションシステム・手術中迅速病理組織診断・脊髄神経電気モニタリングを駆使し、より安全性の高い手術治療を行い、全国有数の実績を上げています。

過去5年間の脊髄腫瘍の手術実績

平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年
件数 12件 26件 17件 20件 16件

上記のような診療実績について、当院脊椎脊髄外科では、毎年のように全国規模の学会や雑誌・書籍にて発表・報告・執筆し、日本の脊椎外科の先端水準を満たし、またその評価を受けるよう努力しております。
脊椎脊髄疾患は、進行にも関わらず放置した場合には、歩行など日常生活動作に支障を来すことも事実であり、脊髄脊髄手術による高い治療効果を期待する一方、その手術は高度な技術を要し、リスク(合併症・危険性)が必ず伴います。当科では、慎重な合併症対策をとることにより、リスクの発生頻度を抑える努力を続けておりますが、完全に避けることは出来ません。合併症の発生頻度は、平成20年は全脊椎手術246件中、術後深部感染2例(洗浄など再手術にて全例治癒)、術後神経症状の悪化4例(内2例は非常に難治な脊髄髄内腫瘍症例。4例中3例は経過とともに改善し歩行も可能。1例は麻痺が持続。)、インプラント(固定手術用のスクリュウなど内固定材)の合併症1例(スクリュウの緩み対し再手術にて改善)などがありましたが、手術に関する死亡例は0例です。平成21年には全脊椎手術230件中、術後深部感染1例(洗浄など再手術にて治癒)、術後神経症状の悪化1例(頸髄症術後第5神経根領域麻痺)などがありましたが、手術に関する死亡例は0例です。
合併症に関しては、発生頻度を抑える努力を続ける一方、積極的に開示し、手術前後に十分な説明をするよう心がけております。

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